特殊紙解説シリーズ:H-4〜H-6 白い紙のラフ・非木材・コットン系

はじめに

白い紙は特殊紙の中でも最も基本的な存在ですが、質感や原料の違いによって大きく印象を変えます。今回取り上げる H-4〜H-6 は、ラフな風合いを持つ紙、非木材や再生紙による環境配慮型の紙、そしてコットンを配合した高級紙です。それぞれが持つ個性を理解し、適切に使い分けることで、印刷物の質を大きく高めることができます。


H-4-1:白い紙・ラフ(サーブル、パミス、リ・シマメなど)

サーブル

細かいざらつきがあり、手触りが心地よい紙。写真や文字を落ち着いたトーンで見せ、上質な冊子や詩集に適しています。

パミス・水彩紙パミス

パミス(軽石)のようなラフな質感が特徴。水彩紙タイプは絵画作品集やアート冊子に最適です。

リ・シマメ

縞模様をうっすらと持ち、クラフト感を演出できる紙。環境配慮型でありつつデザイン性も兼ね備えています。

H-4-1のまとめ
「ざらつき」「素朴さ」「自然な風合い」を活かすラフ系。アートや詩的表現に適した用紙群です。


H-4-2:白い紙・ラフ(ニューこもん、モデラトーンGA、ボス、パステルカバー)

ニューこもん

和様の「小紋柄」をイメージさせるラフな質感。冊子や和風デザインの表紙に適しています。

モデラトーンGA

やわらかな表面と発色性を両立。デザイン性を求めるパンフレットや書籍の本文用紙として選ばれます。

ボス

厚みと力強さがあり、印刷時に存在感を放つ紙。男性的で堅牢なイメージを伝えるのに適しています。

パステルカバー

淡い色合いと柔らかな風合いを持つカバー紙。やさしい印象を与える冊子やパンフレットに使いやすい素材です。

H-4-2のまとめ
多彩な表情を持つラフ系。小紋柄や柔らかさ、力強さなど、デザイン意図に合わせた選択肢が揃います。


H-5:白い紙・非木材紙/再生紙(タブロ-FS、GAバガス、竹はだGA、NBリサイクルGAなど)

非木材繊維や再生紙を利用したシリーズ。環境配慮の観点から需要が高まっています。

  • タブロ-FS:古紙を配合し、自然な風合いを持つ再生紙。環境レポートやCSR資料に適しています。
  • GAバガス-FS/あわせ:サトウキビの搾りかすを原料とした非木材紙。サステナブルな選択肢として注目されています。
  • 竹はだGA:竹繊維を配合し、独特の繊維感を持つ紙。和のイメージを持つ印刷物に好適。
  • NBリサイクルGA:高品質な再生紙で、汎用性が高く幅広い印刷物に対応します。

H-5のまとめ
「環境配慮」と「独自の質感」を兼ね備えた非木材・再生紙。企業のCSR姿勢を表現する紙として活用できます。


H-6:白い紙・コットン配合(グムンドコットン、ニーナコットン、モロー、ワイルド-FSなど)

コットンを配合することで、柔らかさと強度を併せ持つ高級紙。

  • グムンドコットン:ドイツ製の高級紙で、しっとりとした手触りが特徴。高級名刺やアート作品に最適。
  • ニーナコットン:米国製の高級コットン紙。発色が良く、ブランドステーショナリーに選ばれます。
  • モロー粗目・細目:ラフな質感と繊維感があり、芸術性を重視した印刷物に向いています。
  • ワイルド-FS/ピュアマット:厚みがありつつ柔らかな質感を持ち、ブライダルや高級冊子に適した紙です。

H-6のまとめ
コットン配合紙は「柔らかさと高級感」を兼ね備えた特別な紙。重要なコミュニケーションツールに最適です。


活用事例と提案

彩匠堂での活用例を挙げると、以下のような展開が考えられます。

  • アート作品集:パミスやモローを使い、素材感で世界観を強調。
  • CSRレポート:GAバガスや竹はだGAを採用し、環境配慮をアピール。
  • 高級名刺:グムンドコットンで特別感を持たせる。
  • ブランド冊子:ソフトバルキーやリ・シマメで自然な風合いを表現。

まとめ

H-4〜H-6は、白い紙の中でも特に「風合い」「環境配慮」「高級感」を重視するシリーズです。ラフな質感で個性を表現するH-4、サステナブルな取り組みを伝えるH-5、柔らかさと高級感を兼ね備えるH-6。それぞれの紙を適材適所で活用することで、印刷物は一層価値を高められます。

次回は I-1(ステーショナリー)とJ-1(透明紙) を取り上げます。

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