特殊紙解説シリーズ:I-1〜J-1 ステーショナリーと透明紙

はじめに

特殊紙の世界には、用途や場面ごとに独自の役割を持つカテゴリがあります。今回取り上げる I-1(ステーショナリー)J-1(透明紙) は、その代表的な存在です。I-1は手紙や名刺など「書く・伝える」ための紙、J-1はトレーシングや透明感を活かした「見せる・透かす」ための紙。いずれもデザインや用途の幅を広げる素材です。


I-1:ステーショナリー(コンケラー、ストラスモア、ギルバートなど)

コンケラー・ウーブ/レイド/コンツア/CX22/IR

イギリス発祥の高級ステーショナリーブランド。独特の質感と高級感で、国際的にも名刺やビジネス文書に選ばれてきました。ウーブは滑らか、レイドは簾状のライン、CX22はマットな印象など、用途に応じた選択が可能です。

ストラスモアライティングウーブN/レイドN

アメリカの伝統あるブランド紙。柔らかさと書きやすさが特徴で、レターセットや公式文書に適しています。

ギルバートシリーズ(CWボンド、オックスフォードNほか)

米国製のステーショナリー用紙。厚みや強度があり、公的書類や証書台紙にも使用されます。

その他(クレーンクレスト、ギルテック、バンクペーパーなど)

歴史ある銘柄が多く、いずれも「信頼性・高級感・伝統」を伝える用途に強みがあります。

I-1のまとめ
ステーショナリーは「書く・贈る・伝える」に特化した特殊紙。高級名刺、レターセット、証書などに最適です。


J-1:透明紙(クロマティコ、NTパイル、クラシコトレーシングなど)

クロマティコA-FS

着色透明紙。透け感がありながら発色も鮮やかで、パッケージやDMに遊び心を加えられます。

NTパイル

しっかりとした厚みのあるトレーシング系。図面や設計資料だけでなく、デザイン冊子の表紙にも活用可能です。

クラシコトレーシングシリーズ

無地に加え、風・星くずしなど模様入りのラインも展開。透け感と模様の組み合わせがデザインの幅を広げます。

ドリープシリーズ(W、F、アートドリープ各種)

独特の模様や光の反射が特徴的で、パッケージや演出用の印刷物に強い存在感を与えます。

J-1のまとめ
透明紙は「透け感を活かす」素材。重ね刷りや下のデザインを透かすことで、立体的な表現が可能になります。


活用事例と提案

彩匠堂での活用例としては以下のような展開が考えられます。

  • 高級名刺:コンケラーCX22を使用し、手触りと高級感を強調。
  • 証書や記念状:ギルバートオックスフォードで信頼感を演出。
  • パッケージ窓材:クロマティコA-FSで色付きの透け感をプラス。
  • アート冊子の表紙:クラシコトレーシング 星くずしを重ね、幻想的な世界観を表現。

まとめ

I-1とJ-1は、一見すると方向性が大きく異なりますが、いずれも「紙で伝える特別感」を担うカテゴリです。ステーショナリーは伝統と信頼を、透明紙は遊び心と表現力を。それぞれの特性を理解し活用することで、印刷物の可能性はさらに広がります。

次回は K-1〜L-2(鏡面・光沢紙と厚いスムース紙) を解説します。

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