特殊紙解説シリーズ:F-3〜F-6 T-EOSシリーズ後半の多彩な表現

はじめに

特殊紙の魅力は、単なる印刷のベースではなく「触覚や光の反射そのものがデザイン」になる点にあります。特に T-EOSシリーズ は、精緻なエンボス加工で多彩な模様を表現するシリーズで、印刷物に独自の世界観を与えます。今回は F-3〜F-6(ジャガードGA、タッセルGA、NTストライプGA、ユニテックGA、NTほそおりGA、い織り、クロコGA) を取り上げます。


F-3:エンボス・T-EOS(ジャガードGA、タッセルGA)

ジャガードGA

織物の「ジャガード織」を思わせる複雑なパターンを持ち、優雅でクラシカルな雰囲気を表現します。ファッションやインテリア関連の冊子に使うと、上品さが一層際立ちます。

タッセルGA

タッセル(房飾り)のような模様を持ち、デザイン性の高いパッケージやブランドブックに最適。触感でも印象に残るため、高級感を求めるシーンで採用されやすい紙です。

F-3のまとめ
織物調のジャガードと装飾性の強いタッセル。クラシカルかつ華やかな印象を求めるときに適しています。


F-4:エンボス・T-EOS(NTストライプGA)

NTストライプGA、NTストライプGA-FS(2023年順次切替)

縦方向に走るストライプ模様が特徴。シンプルながら存在感があり、パンフレットや会社案内、証書台紙などに適しています。FS仕様は環境対応も意識した選択肢です。

F-4のまとめ
整然とした縦模様が、ビジネス文書やフォーマルな印刷物に「信頼感と安定感」を与えます。


F-5:エンボス・T-EOS(ユニテックGA、NTほそおりGA)

ユニテックGA

細かい格子のような模様を持ち、工業的・モダンな雰囲気を演出。建築系やテクノロジー関連の冊子に適しています。

NTほそおりGA

織物の細い織り模様を再現した紙。柔らかさと繊細さを感じさせ、ファッションやライフスタイル系のブランドブックに向いています。

F-5のまとめ
ユニテックは「モダン」、NTほそおりは「繊細」。対照的な魅力を持つ2銘柄が揃っています。


F-6:エンボス・T-EOS(い織り、クロコGA)

い織り-FS(2023年順次切替)、い織り

大胆な織物風の模様で、強いインパクトを与える紙。パッケージやDMなどに使えば、一目で「特別な印刷物」であることを印象づけられます。

クロコGA-FS(2023年順次切替)、クロコGA

クロコダイルの革を模したエンボス加工。力強さと高級感を兼ね備え、ファッション・アクセサリー・高級ブランドのパッケージに最適です。

F-6のまとめ
い織りは「大胆な織物感」、クロコは「高級な革調」。どちらもブランドの存在感を強調する強力な選択肢です。


活用事例と提案

彩匠堂での活用イメージとしては以下のようなものがあります。

  • ブランドブック:ジャガードGAで上品な世界観を演出。
  • 証書台紙:NTストライプGAを採用し、フォーマルさを表現。
  • テクノロジーカタログ:ユニテックGAでモダンな印象を強調。
  • 高級パッケージ:クロコGAを用い、特別感と高級感を両立。

まとめ

F-3〜F-6は、T-EOSシリーズの中でも特に個性的な模様が揃ったカテゴリです。クラシカル、整然、モダン、大胆――多彩な方向性を持つこれらの紙をどう使うかで、印刷物は大きく印象を変えます。

次回は G-1〜G-2(和様・エンボス) を取り上げ、日本独自の風合いを持つ特殊紙の魅力を解説します。

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