特殊紙解説シリーズ:E-3〜E-4 クラシックな格調と格子模様の個性

はじめに

特殊紙の魅力は、加工や模様によって「触覚と視覚の両方に語りかける力」を持つことです。E-3とE-4は、いずれもエンボス加工を施したシリーズでありながら、その表情は大きく異なります。クラシカルな佇まいを持つ クラシックシリーズ と、幾何学的でモダンな印象を与える 格子模様系。今回はそれぞれの特徴と活用法を解説します。


E-3:エンボス・クラシックシリーズ

クラシッククレストST-FS

欧米のビジネス文書にも使われる定番。繊細で控えめなリネン風のエンボスが特徴で、上品さと堅実さを兼ね備えています。名刺や会社案内に用いると、信頼感と格調を表現できます。

クラシックリネン-FS

布目調のエンボスが印象的。ビジネス用途だけでなく、結婚式招待状やブランドブックなど、華やかさと格式を求められるシーンでも活躍します。手に取った際の質感が強く印象に残る紙です。

FAVINI TOKYO(2023年新製品)

イタリアの製紙メーカー・FAVINIによる高級紙で、日本市場向けに展開されたシリーズ。クラシカルでありながら現代的な洗練も併せ持ち、アート系冊子や高級パッケージに適しています。海外ブランドの持つ「異国感」を紙で表現できる数少ない選択肢です。

E-3のまとめ
クラシックシリーズは「格式・信頼・上品さ」を求める案件に最適。ビジネスからブライダルまで幅広い用途に対応できる、汎用性の高いカテゴリです。


E-4:エンボス・格子模様

ビルカラー

大きな格子模様が特徴で、建築や工業系のカタログに最適。大胆なテクスチャーは、デザインに強い存在感を与えます。

ハイチェック

チェック柄を細かく刻んだ紙。規則的で整然とした印象を与え、フォーマルな冊子や案内状にも使いやすいバランス感を持ちます。

レザック96オリヒメ

格子模様に繊細なニュアンスを加えた用紙。女性的な柔らかさと上品さを併せ持ち、ギフト関連やコスメ系のパッケージに適しています。

E-4のまとめ
格子模様は「整然とした印象」と「幾何学的な美しさ」を演出できるカテゴリです。デザインに安定感を加えたいときや、視覚的な統一感を表現したいときに活躍します。


活用事例と提案

彩匠堂での利用例としては以下のようなものがあります。

  • 会社案内:クラシッククレストST-FSで、誠実さと信頼性を演出。
  • ブランドブック:クラシックリネン-FSを採用し、高級感を持たせる。
  • ギフトパッケージ:レザック96オリヒメを用いて、女性向けブランドの世界観を表現。
  • 建築カタログ:ビルカラーを使用し、素材感を前面に出したデザインに。

まとめ

E-3(クラシックシリーズ)とE-4(格子模様)は、ともにエンボス加工の特殊紙ながら方向性が大きく異なります。前者は「上品・クラシカル・信頼感」、後者は「幾何学・安定感・存在感」。印刷物の目的やターゲットに合わせ、最適な選択を行うことで、デザインはより豊かに広がります。

次回は E-5(タントセレクト)とF-1〜F-2(T-EOSシリーズ前半) を取り上げます。繊細なエンボスと多彩な表情を持つ特殊紙の世界をご紹介します。

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