特殊紙解説シリーズ:A-9〜A-10 ラフな質感と菊判サイズの個性

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はじめに
特殊紙の魅力は、質感やサイズによって印刷物の印象を大きく変えることにあります。今回紹介する A-9(モフル・OKミューズバナナ) と A-10(NTラシャ菊判・レザック66菊判) は、いずれも一般的な紙にはない存在感を持ち、デザインの完成度を高める重要な役割を果たします。
A-9:色物・ラフ(モフル・OKミューズバナナ)
A-9は、ざらりとした質感を持つラフ系の用紙が収録されています。
モフル
柔らかな質感と独特の凹凸を持つ用紙で、冊子やパンフレット、DMなどに使うと「温かみ」や「親しみやすさ」を与えます。光沢のある紙にはない優しい印象を与えるため、ナチュラル系のブランドや子ども向けの印刷物に適しています。
OKミューズバナナ
紙にバナナの茎繊維を漉き込んだユニークなエコペーパー。繊維が表面に見えることで独特の風合いが生まれ、自然素材を感じさせる表情を作り出します。環境配慮を意識したデザインや、クラフト感を演出したいパッケージに最適です。素材そのものがストーリーを語る紙といえるでしょう。
A-9のまとめ
ラフ系の紙は、情報を伝えるだけでなく「感触や表情で印象を強める」役割を果たします。モフルの優しさとOKミューズバナナの自然感は、デザインの方向性に合わせて選ぶことができます。
A-10:色物・菊判(NTラシャ菊判・レザック66菊判)
A-10は、菊判サイズで展開される特殊紙が収録されています。
NTラシャ菊判
定番のNTラシャを菊判サイズで提供したもの。名刺やカードに限らず、冊子やポスターなど大きめの制作物にも活用でき、豊富な色数と安定した品質で幅広い用途に対応します。
レザック66菊判
レザー調のエンボスを施した用紙。表面の模様が独特で、証書や賞状、案内状などフォーマルな印刷物に長年使われてきました。厚みがあるため重厚感が出やすく、信頼性や格式を強調するのに最適です。
A-10のまとめ
菊判サイズの展開は「大判用途に対応できる」ことが最大の強みです。ラシャ系の安定感とレザックの重厚感という異なる個性を持ち、幅広いシーンで信頼されてきた紙です。
活用事例と提案
彩匠堂での事例としては、次のようなケースがあります。
- 商品カタログ:モフルを使い、自然派ブランドらしい柔らかな雰囲気を演出。
- パッケージ:OKミューズバナナを採用し、環境配慮を訴求するストーリーを追加。
- 賞状・証書:レザック66菊判で、伝統的かつ重厚感のある仕上がりを実現。
- 展示ポスター:NTラシャ菊判で、落ち着いた発色と高い安定感を確保。
まとめ
A-9とA-10は、それぞれ「質感」と「サイズ」に特徴を持つカテゴリです。モフルとOKミューズバナナはナチュラルで優しい表現、NTラシャ菊判とレザック66菊判は大判用途や格式ある印刷物に適しています。目的や場面に応じて使い分けることで、印刷物はさらに魅力を増していきます。
次回は B-1〜B-3(ブレンド系の特殊紙) を取り上げ、異素材を組み合わせた紙の世界をご紹介します。