Jet Press 750S 導入から3年半の実績レビュー

導入の背景
株式会社彩匠堂では、2022年4月に枚葉インクジェットデジタル印刷機「Jet Press 750S」を導入しました。
小ロット・高品質・短納期といった市場ニーズに対応するための投資であり、従来のトナーPOD機では限界のあった領域を補完する狙いがありました。
2025年9月、導入から3年6ヶ月が経過した時点での実績と課題を整理し、公式レビューとしてまとめます。
稼働実績と得意分野
この3年半で最も効果を発揮した案件は以下のとおりです。
- 軽い絵柄を大量に出力するジョブ
スジが出にくく、安定した品質で長時間の稼働に耐えられる点が評価できました。 - 色合わせがシビアな案件
高度な色再現性を求められる案件でも短時間で対応可能となり、従来のPOD機よりも確実な成果を得られました。
効率面での効果
印刷速度に関しては従来機に比べて格段に優れています。
例:片面フルカラー3,000通のジョブ
- トナーPOD機(RICOH):約1時間30分
- Jet Press 750S:約45分
単純比較で作業時間を半分に短縮できました。
また、印刷欠陥や通紙トラブルの少なさ、色ブレや見当ズレの安定性も効率化に寄与しています。調整にかかる時間が削減され、オペレーターの負担軽減につながりました。
品質と信頼性
Jet Press 750Sは、発色の鮮やかさにおいてオフセット印刷を上回るケースもあります。
お客様がオフセットの色見本を持ち込まれた際に、比較して「Jet Pressの方が美しい」と評価された事例もありました。
さらに、フルガモットモードを活用することで従来のプロセス4色では再現困難な領域もカバーでき、品質面での優位性を確認しています。
想定外の課題
一方で、運用を通じて以下の課題が明らかになりました。
- 濃いベタや重い絵柄ではスジやプレコンのムラが発生しやすい
- 薄紙や厚紙で、紙目がシリンダの回転方向に逆だと通紙が難しい
- プレコンの影響により、色付き用紙では地色が変化する
これらは導入前には想定していなかった制約であり、現場での運用調整が必要な領域です。
今後の展望
彩匠堂ではJet Pressを単なる印刷機としてではなく、BPOサービスと組み合わせた付加価値提供の中心に据えています。
具体的には、
- バリアブル印刷を活用したDM発送
- 小ロット・多品種案件の効率的な処理
- 印刷から封入封緘・発送までの一貫体制
これらを通じて、顧客企業の業務効率化と付加価値創出に貢献していく方針です。
まとめ
導入から3年半、Jet Press 750Sは彩匠堂にとって効率化と品質向上の両面で成果を上げてきました。
一方で、特定条件下での課題も明らかになり、引き続き運用改善が求められます。
総じて、Jet Pressは当社の印刷・BPO事業を支える重要な設備であり、今後も事業成長の基盤として活用していきます。