特殊紙解説シリーズ:A-3〜A-4 多色・ラフと色物・スムースの魅力

はじめに

特殊紙の中には、視覚だけでなく「触覚」に強い訴求力を持つものがあります。今回取り上げる A-3(多色・ラフ)A-4(色物・スムース) は、いずれも印刷物の第一印象を大きく左右する重要なカテゴリです。ラフな質感が作り出す独特の陰影、そして色数の豊富さで支持される色上質。それぞれの特徴を見ていきましょう。


A-3:多色・ラフ

A-3には「マーメイド」「マーメイド-FS」といった紙が収録されています。波打つようなエンボス加工が施され、光の当たり方や見る角度によって表情を変えるのが特徴です。

マーメイド

柔らかい水面を思わせるテクスチャーで、招待状や詩集、アートブックの表紙に多く採用されています。印刷した文字やイラストに奥行き感を加え、作品全体を立体的に見せる効果があります。手に取った瞬間に感じる独特の凹凸は、視覚と触覚を同時に刺激し、印刷物を単なる情報から「作品」へと引き上げてくれます。

マーメイド-FS

環境対応としてFSC認証を取得したバージョン。従来のマーメイドと同じ風合いを保ちながら、持続可能性を重視する時代に即した選択肢です。サステナブルなブランドイメージを大切にする企業案件では、マーメイド-FSを選ぶことでメッセージ性を強めることができます。

A-3のまとめ
マーメイド系の用紙は「柔らかい印象」と「高級感」を同時に演出できる紙です。写真やイラストを載せても単調にならず、デザインをより豊かに見せたいときに力を発揮します。


A-4:色物・スムース

A-4には「色上質」が収録されています。ビジネス現場からデザイン業界まで、幅広く使われている万能紙です。

色上質

名前の通り、色付きの上質紙。最大の特徴は圧倒的な色数の豊富さで、数十色以上のバリエーションが揃います。厚みの展開も多く、帳票や伝票、チケット、パンフレット、リーフレットなどあらゆる場面に対応可能です。

発色の安定性に優れており、大量印刷にも適しています。例えば社内資料でも紙色を変えるだけで部署や用途を識別でき、視認性や整理のしやすさが格段に向上します。さらに、販促物に使用すれば「色で印象づける」効果を狙うことができます。

A-4のまとめ
色上質は「縁の下の力持ち」といえる存在です。派手さはありませんが、豊富な色展開と安定した品質で日常的にも、デザイン用途にも幅広く使える汎用性が最大の魅力です。


活用事例と提案

彩匠堂でも、A-3とA-4の用紙はさまざまな場面で活用されています。

  • アート系冊子:マーメイドを表紙に使用することで、少部数でも特別感を演出。
  • 企業資料:色上質を使い、部署ごとに色を変えることで整理しやすさを確保。
  • DM・リーフレット:色上質の鮮やかな色をそのままデザイン要素として使用し、コストを抑えつつ高い訴求効果を実現。

いずれも「紙が持つ力を活かすことで、印刷物の役割を最大化できる」という事例です。


まとめ

A-3(多色・ラフ)とA-4(色物・スムース)は、一見対照的ながら印刷物の世界で強力な存在感を放つカテゴリです。マーメイドの柔らかなテクスチャーは特別感や芸術性を引き出し、色上質の多彩な色展開は日常からビジネス、販促まで幅広いニーズを支えます。

次回は A-5(コニーラップ、アペリオ、NBファイバー)とA-6(アストロブライト-FS、竹あやGA、ハーフエア) を取り上げ、さらにバリエーション豊かな特殊紙の世界をご紹介します。

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