FortiGateで守る社内ネットワークの安全性と信頼性

弊社では数年前よりFortinet社のUTM(統合脅威管理)「FortiGate」を導入し、社内ネットワークの安全性を維持しています。印刷業界は顧客データや個人情報を大量に取り扱うため、セキュリティ対策は経営の根幹に関わる重要事項です。本記事では、導入の背景から機能概要、運用事例、そして業界全体に通じる課題までを紹介します。
Contents
導入の背景 – データ受け渡し方法の変化と新たなリスク
印刷用データの受け渡し方法はこの十数年で大きく変化しました。かつてはMOディスクやCD、HDD、USBメモリなど物理メディアが主流であり、ウイルス感染や媒体紛失が大きなリスクでした。しかし現在ではオンラインストレージやメール添付、サーバーアップロードが当たり前となり、物理メディア経由の感染リスクは減少しました。
一方で、外部からの不正アクセスや外部サーバーへの侵入といったサイバー攻撃リスクは急増しました。特に個人情報を含む大量データを扱う印刷会社にとって、情報漏えいは顧客信用の失墜や損害賠償など甚大な影響を及ぼします。このため、社内ネットワーク全体を守る強固な防御が必要と判断し、FortiGateの導入を決定しました。
FortiGateとは – 多層防御を実現するUTM
FortiGateはファイアウォールに加え、IPS(侵入防御)、アンチウイルス、Webフィルタリング、アプリケーション制御など、複数の脅威対策を統合的に提供するUTMです。弊社では特に以下の機能を重点的に活用しています。
不正アクセス防止
印刷業では顧客から預かった入稿データをサーバーで保管するため、外部からの侵入やDoS攻撃は大きな脅威です。例えば、大量アクセスを発生させる攻撃により社内サーバーがダウンすれば、入稿や校正確認が遅延し、納期に影響します。FortiGateは不審なIPアドレスからの接続をリアルタイムで検知・遮断し、こうした業務停止のリスクを防ぎます。また、社外からのリモートアクセスも認証付きVPN経由に限定し、安全な接続環境を確保しています。
ウイルス・マルウェア対策
印刷現場では、取引先からメールで送られるPDFやIllustratorファイル、圧縮フォルダなどを開く機会が多く、そこにマルウェアが仕込まれているケースもあります。過去には、請求書を装ったメールにウイルスが含まれていた事例もありました。FortiGateはメールやWeb経由で流入するファイルを通過時にスキャンし、感染の兆候があれば自動的に隔離。これにより感染拡大を未然に防ぎ、印刷用PCや製版機器への影響を防止します。
Webフィルタリング
社内の制作担当が作業中に誤って危険な広告リンクをクリックしたり、業務とは関係ない不正改ざんサイトにアクセスしてしまうと、そこからマルウェア感染や情報流出が発生する可能性があります。FortiGateは業務に不要なカテゴリのサイトや、危険と判定されたページへのアクセスを自動でブロック。これにより、社内のPCが外部攻撃の踏み台にされる事態を防ぎます。特に、顧客の個人情報を管理するサーバーへの経路を守るためにも有効です。
アプリケーション制御
印刷会社の現場では、大容量データをやり取りするためのFTPやオンラインストレージを日常的に利用しますが、業務外のファイル共有アプリやチャットアプリ経由での情報漏えいリスクも無視できません。例えば、私的に使用しているクラウドサービスに誤って顧客データをアップロードしてしまうと、外部に流出する恐れがあります。FortiGateでは業務に必要なアプリのみ通信を許可し、それ以外は遮断するポリシーを設定。これにより業務効率を維持しながら情報漏えいの可能性を最小限に抑えます。
導入後の効果 – 実運用での成果
FortiGate導入以降、海外IPからの不審アクセス試行を複数回検知し即時遮断しました。また外部メール経由のマルウェア感染はゼロを継続しています。不要な通信の制御によりネットワークの速度と安定性も向上しました。これらの効果は日常業務の安心感と効率性の向上につながっています。
継続的なセキュリティ強化 – ハードと人の両面から
セキュリティ対策は一度導入して終わりではありません。弊社ではFortiGateのファームウェアや定義ファイルを常に最新化し、ルールやアクセス権限の定期見直しを行っています。さらに社員へのセキュリティ教育も継続し、パスワード管理や不審メール対応など人的ミスによる情報漏えい防止にも力を入れています。
印刷業界におけるセキュリティの重要性
印刷業界は一般企業以上に顧客データを扱う機会が多く、その中には住所、氏名、電話番号、さらには金融情報や契約書など機密性の高い情報も含まれます。これらが外部に流出すれば、企業信用の喪失にとどまらず契約解除や損害賠償など深刻な事態に発展します。FortiGateはこうした重大リスクから日々業務を守る要の存在です。
まとめ
物理メディアからオンラインへの移行は業務効率と利便性を大きく高めましたが、その裏で新たな脅威も生み出しました。弊社ではFortiGateを運用し、時代の変化に合わせて重要な情報資産を守り続けています。今後も脅威に先手を打つ姿勢を崩さず、ハードと人の両面からセキュリティ強化を続けていきます。
今回ご紹介した内容は弊社だけに限った話ではなく、個人情報を扱う印刷業界全体に共通する課題です。印刷業界は古いイメージを持たれがちで、今もFAXによるやり取りなど旧来の方法が残る場面も少なくありません。しかしその一方で、最先端のセキュリティを駆使して顧客データを守る企業も増えています。もし既に取引している会社がある場合は、一度セキュリティ体制について確認してみることをおすすめします。