機械じゃできない仕事がある──内職現場から見た“小ロット印刷”の価値

はじめに
大量生産・機械化が進む印刷業界。
それでも、あえて人の手を通す仕事が存在します。
シール貼り、検品、封入、仕分け──どれも地味ですが、印刷物の品質と信頼を左右する重要な工程です。
一見単純に思える作業ですが、実はお客様から「ありがとう」と言われる回数が最も多いのも、この内職作業の場面。
今回は、彩匠堂の内職(軽作業)の現場から見える“小ロット印刷”の価値を、少し深掘りしてご紹介します。
機械化の時代に、なぜ“人の手”なのか
印刷機や後加工機は年々進化し、スピードも精度も上がっています。
しかし、全てを機械に任せられるわけではありません。
例えば、シール貼りひとつを取っても、製品によって位置や向きが微妙に異なる場合があります。
わずか数ミリのズレでも、受け取る側には「雑な仕上がり」と映ってしまいます。
お客様の要望に沿った貼り方をするには、経験と細やかな判断が必要です。
こうした調整や判断は、まだ機械が苦手とする分野であり、人間の感覚に頼るしかありません。
また、小ロット印刷では案件ごとの仕様が異なることも多く、マニュアル通りに動く機械だけでは対応しきれないケースがあります。
「前回と同じだけど、今回はこの部分を変えてほしい」そんな細やかな要望に柔軟に応えられるのも、人の手を通す作業があるからです。
内職現場のリアル
彩匠堂の内職現場では、日々多彩な作業が行われています。
シール貼り
例えば食品パッケージやイベント用ノベルティなどでは、規定位置に正確にシールを貼る必要があります。
手作業であれば、製品ごとの微妙なズレや印刷面の凹凸に応じて、自然に補正しながら作業が可能です。
実際に、機械貼りではどうしても剥がれやすかった案件を、全数手貼りに切り替えたことでクレームが減った事例もあります。
検品
印刷のカスレや汚れ、色ムラ、裁断時の微妙なカケを、目視と手触りで確認します。
光にかざして見なければ分からない欠陥もあり、これらは機械のカメラ検査を通過してしまうことも。
納品後にお客様が気づく前に、現場で不良を取り除くことが品質維持の鍵です。
封入作業
冊子やチラシ、ノベルティ、挨拶状などを指定順にセットし、封筒や袋に封入します。
似たような形状やサイズのものでも、順番や方向を間違えないよう、作業台にはガイドや見本を置き、確認を徹底しています。
特にDMの封入では、開封時の見え方まで意識して封入することもあります。
仕分け・梱包
納品先や用途に応じて、小口ごとに整理・パッキングします。
「東京営業所向け50部、札幌支店向け30部…」といった細分化された納品形態も日常茶飯事です。
段ボールの強度やサイズ選び、緩衝材の種類も、中身の性質や輸送距離を考慮して決定します。
彩匠堂では、これらすべての作業を原則2人体制で行い、ダブルチェックを徹底しています。
一人の目だけに頼らず、二重の確認でミスを防ぐのが私たちの品質基準です。
小ロット印刷ならではの柔軟性
大量生産では、スピードと効率を優先するため工程を省くことがあります。
しかし小ロット印刷では、その細かさや柔軟性が最大の武器になります。
例えば「100セットだけ仕様を変えてほしい」「発送先を3ヵ所に分けたい」といった要望にもスムーズに対応できます。
これは、印刷から内職作業、仕分け・梱包、発送までを一貫して管理しているからこそ可能なことです。
さらに、イベントや展示会など納期が厳しい案件でも、作業工程を前倒しで組み替えることで間に合わせられることがあります。
現場と営業が密に連携し、その場で工程変更を判断できるのも、機械頼みではなく人の判断が入る現場の強みです。
人間味が信頼を生む
お客様から時々「封入物に手書きのメッセージを添えてほしい」というご依頼をいただきます。
こうした要望は、単なる物流業務では対応が難しいですが、彩匠堂では可能な範囲で応えています。
また、製品を出荷する前に全体を俯瞰し、印刷の色合いや紙質が注文内容と合っているか、最終確認を行います。
それは単に「ミスを防ぐため」だけではなく、「受け取った瞬間に喜んでいただくため」の作業でもあります。
あるお客様からは、商品を受け取った際に「細かいところまで見てもらえていると分かるから安心できる」とのお声をいただきました。
こうした信頼は、一度や二度では築けません。
日々の積み重ねと、細部へのこだわりがあってこそ得られる評価だと考えています。
まとめ
機械が得意なことと、人の手が得意なことは違います。
そして、小ロット印刷の現場では、その両方の力が必要です。
彩匠堂では、印刷から内職、仕分け、発送まで一貫して対応しています。
特に「品質で差をつけたい」「臨機応変な対応がほしい」というお客様には、私たちの強みを感じていただけるはずです。
量より質を求める印刷をお考えなら、ぜひご相談ください。
ご希望があれば、内職現場の見学も歓迎いたします。