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JetPress 750Sでできること・できないこと|発注前によくある質問まとめ

印刷物の発注を検討しているとき、「どんな印刷機で刷るのか」を知っておくことは非常に重要です。使用する印刷機によって表現の幅や仕上がりの品質、そして納期やコストまでもが変わってきます。特にデザインや用紙選びにこだわりたい案件ほど、印刷機の特性を理解しておくことで、より精度の高い提案や発注が可能になります。

今回は、弊社の深江橋プリントセンターに導入している富士フイルム製 JetPress 750S について、発注者の方からよくいただく質問をFAQ形式でまとめました。実務経験に基づく具体的なポイントを交えながら解説します。


Q1. JetPress 750Sはどんな印刷機ですか?

B2サイズ枚葉型インクジェットデジタル印刷機で、最大1200×1200dpiの高解像度を誇ります。広色域インクによる発色は非常に鮮やかで、特に写真やグラデーションなど微妙な色調の再現性に優れています。オフセット印刷に迫る、もしくは条件次第でそれを上回る品質を出すことが可能です。

少部数や多品種の印刷に強く、版を作らないためデータ入稿から短期間での印刷が可能です。また、一枚目から最後まで安定した色を維持できるため、カタログやブランドブックなど品質要求の高い案件で採用されています。

Q2. どんな印刷物に向いていますか?

JetPress 750Sは、少部数でも高品質を求める印刷物に特に適しています。例えば以下のような案件です。

  • 高級ブランドのカタログやブランドブック(500〜2,000部程度)
  • 分譲マンションの図面集や高画質パンフレット(色校正必須案件)
  • 写真家・アーティスト向けの作品集や写真集
  • 展示会・個展用のポスター、ポストカード、案内状
  • 特殊紙を使用した高級DM、封筒、挨拶状

こうした案件では「少ロットでも高級感を損なわない」「納期を短くしたい」「特殊紙に印刷したい」といったニーズが多く、JetPress 750Sの特性と非常に相性が良いです。

Q3. 何部くらいから対応できますか?

1部から対応可能です。オンデマンド印刷のため、オフセット印刷のような刷版工程が不要で、必要な数量だけを効率良く印刷できます。数十部の試作から数千部の本生産まで柔軟に対応します。

「まずは試作品を数部だけ作って確認し、その後本印刷へ移行」という段階的な発注にも適しています。

Q4. 最大サイズはどれくらいですか?

最大用紙サイズは750×585mm(B2短辺)です。B2ポスターや見開きA2サイズの冊子、横長パンフレットなど、大きめの印刷物にも対応できます。冊子物の中綴じや無線綴じ加工も組み合わせ可能です。

Q5. 納期はどのくらいかかりますか?

小ロット・標準仕様であれば、データ入稿から最短翌営業日出荷が可能です。特殊紙の手配や表面加工(PP貼り、箔押し、型抜きなど)を組み合わせる場合は、工程分を加味した納期設定が必要です。

短納期案件では、事前に仕様とスケジュールを共有いただくことで、納品スピードを最大限引き上げられます。

Q6. 特殊紙や厚紙にも印刷できますか?

はい、対応可能です。コート紙やマット紙はもちろん、ファンシーペーパー、クラフト紙、パール紙などにも印刷できます。最大用紙厚は約0.3mmで、厚紙カードや簡易パッケージ印刷にも対応可能です。

ただし、表面に凹凸が大きい紙や特殊コーティング紙では、事前テストでの印刷確認をおすすめします。

Q7. 特色(PANTONEなど)には対応できますか?

CMYKの広色域インクを使用し、特色に近い色を再現します。多くのブランドカラーやスポットカラーを近似値で表現できますが、厳密なPANTONE指定の印刷は不可です。ブランドガイドライン準拠の色精度が必要な場合は、必ず色校正をご依頼ください。

Q8. バリアブル印刷(可変印刷)は可能ですか?

可能です。宛名・QRコード・シリアルナンバー・可変画像など、1枚ごとに異なるデータを組み込めます。DM、会員証、認定証、チケットなど、パーソナライズ要素が高い印刷物に最適です。

また、差し替え部分のみの印刷も可能なため、データ更新コストを抑えた定期発行物にも活用されています。

Q9. オフセット印刷との違いは?

JetPress 750Sとオフセット印刷の主な違いは以下の通りです。

  • 小ロット・短納期に強い(版を作らず即印刷可能)
  • 色安定性が高い(1枚目から最後まで均一品質)
  • 可変データ印刷が可能(1枚ごとに内容を変えられる)

一方で、数万部以上の大ロット印刷や、特色インキを用いた厳密な色指定が必要な場合はオフセット印刷が有利です。用途やロットによって最適な方式を選ぶことが重要です。

Q10. 発注の流れは?

  1. 用途・仕様のヒアリング(サイズ、部数、用紙、加工内容など)
  2. 用紙・加工方法の選定(必要に応じてサンプル提供)
  3. お見積もり提出
  4. データ入稿(AI、PDF推奨)
  5. 必要に応じて色校正の実施
  6. 本刷り・加工・納品

事前に用途やターゲットを明確にしていただくことで、最適な仕様提案が可能になります。


まとめ

JetPress 750Sは、「少部数でも高品質」「色再現性の高さ」「特殊紙や可変印刷対応」という3つの強みを兼ね備えた印刷機です。特に、ブランド性を重視する販促物や、高精細な写真表現が求められるビジュアル印刷において、オフセット印刷に匹敵するクオリティを短納期・小ロットで実現できるのが大きな魅力です。

例えば、高級ブランドの新作発表に合わせた限定カタログや、アーティストの作品集、展示会や個展の案内状など、1部から数百部単位の制作でも高い表現力と存在感を持たせられます。また、バリアブル印刷機能を活用すれば、宛名や個別メッセージ入りのDM、シリアルナンバー入りの証明書など、パーソナライズによる付加価値も付けられます。

大量印刷のコスト面ではオフセット印刷に軍配が上がるケースもありますが、必要な部数だけを無駄なく、しかも高品質で仕上げられる点はJetPress 750Sならではです。印刷機の性能により、デザインの自由度や提案の幅も広がるため、発注側にとっては制作スケジュールや在庫管理の柔軟性も高まります。

「この仕様はできる?」「この紙に印刷できる?」といった技術的なご相談から、「こういうイメージを形にできるか?」という企画段階でのご相談まで、幅広く対応可能です。印刷の可能性を広げたい方、これまでの仕上がりに満足できなかった方は、ぜひ一度JetPress 750Sのクオリティをご体感ください。

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