印刷ジャーナルの取材を受けました

2023年9月に「JetPress750導入事例」という事で記事を掲載頂きました。
※以下印刷ジャーナル掲載記事を一部変更して記載しています。


 「寄り添いながら、先をいく」─トナーPODによる瞬発力のあるオンデマンド印刷ビジネスを展開してきた株式会社彩匠堂(本社/大阪市中央区道修町2−2−6、代表取締役 伊達則幸)が2022年3月、富士フイルムのB2判インクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を導入し、新たな印刷市場開拓に名乗りを上げている。PODオンリーだった印刷会社がオフセットライクなJet Pressでどのような商機を見出そうとしているのか。今回、伊達社長と龍田浩平取締役に話を聞いた。

「超短納期対応」と「内職対応」

 同社の創業は2009年。複写関連業を前職とする伊達社長が独立する形で創業し、その知識と経験を活かしたオンデマンド印刷ビジネスで急成長を遂げる新鋭の印刷会社だ。

 中央区北浜という大阪中心部のオフィス街に本社事務所を構え、中之島、淀屋橋、本町付近を中心とした大阪市内を主な商圏とするBtoBビジネスを展開。とくに学習塾の成績表などで培ったバリアブル印刷のハンドリング技術を成長エンジンとして事業を拡大。その後、2012年にはプライバシーマークを取得、さらに2016年には東京営業所(東京都渋谷区渋谷)を開設することで事業の間口を広げ、仕事量の増加とともに積極的な設備投資でクライアントの需要に応えてきた。

 振り返ってみると、同社の創業はリーマンショックからおよそ1年後。厳しい経済環境下からのスタートだった同社が、着実に業績を伸ばしてきた理由には、「超短納期対応」と「内職対応」という2つの強みがある。伊達社長は、「納期対応で溢れた仕事、手間がかかって他社では断られるような内職仕事。いずれも当然ながらハードな仕事になるが、後発がゆえに、ここを自社の強みに変えることで企業価値を高めてきた。とくに流通加工、アッセンブリは、印刷との相乗効果を生み、今となっては大きな強みとなっている」と説明。また、あえて様々な業種からの仕事を開拓することで業種ならではジョブの特徴を習得し、これら細やかな対応力と行動力で多くの信頼を獲得。現在、およそ1500社の口座から月およそ500ジョブを受注、処理している。

 一方、生産設備は2013年に開設した深江橋プリントセンター(大阪市東成区神路2−2−6)に集約。2022年3月に導入したB2サイズのインクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」もここで稼働している。

決め手は富士フイルムブランドの「安心感」

 同社が創業当時から一貫して追及してきたのは、トナーPOD機をデバイスとするオンデマンド印刷ビジネスだ。もちろん、オフセット印刷機を設備した経験もない。そんな同社が2022年3月、POD機4台のうち3台を廃棄し、Jet Pressに入れ替えたわけだ。富士フイルムでも、「オフセット印刷機を持たず、PODオンリーだった印刷会社がJet Pressを導入するのは希なケース」としている。したがって、導入の背景や理由、メリットなどもオフセット印刷会社のケースとは少し異なるようだ。伊達社長も「当社をベンチマークする会社、当社がベンチマークする会社はない。それだけニッチなビジネスモデルを構築している」と説明する。

 Jet Press導入の背景について龍田浩平取締役は、「創業から『菊四裁POD』という限られたカテゴリの中で仕事をしてきたが、コロナ禍を経て、顧客との関係性や仕事内容にも変化が見られ、次の一手としてサイズや品質面で印刷事業のランクを上げる必要性を感じた」と振り返った上で、「しかし、さすがにオフセットではない。そこで以前から注目していたJet Pressの魅力が私の中で高まっていった」と説明する。

 伊達社長も「小ロット、多品種、短納期、バリアブルという顧客ニーズが鮮明な中、オフセット印刷に商機を感じられなかった」と経営的な意思決定について説明する。とは言え、同社にとって紙に印刷する手段にこだわりはない。「ただ、PODで顧客が懸念するのは加工適正とトナーのテカリ。それを考慮し、UV仕様はもともと候補に入れなかった」(龍田取締役)

 そして、Jet Press採用の最終的な決め手となったのは「メンテナンス」「アフターサービス」に対する信頼だったと伊達社長。

 「当社が導入するデバイスは『生産機』。ゆえにダウンタイムは最大の経営リスクだと考える。そこで日本企業である『富士フイルム』のサービス体制に安心感があった」

 続けて伊達社長は、「B2デジタル機のモデルの選択肢は、それほど多くない。その中で、まずJet Pressの品質は申し分ない。広い色域を含め、『オフセットを凌駕する圧倒的な品質』という謳い文句に嘘偽りはない。しかも、10年以上にわたる富士フイルムブランド『Jet Press』の導入実績には大きな安心感がある」と評価する。

ブランディングとしてのJet Press

 同社では、オフセット印刷の受注を中心に、外注比率が6割以上を占める。まず、この内製化がJet Pressのターゲットとなる。

 「正直、高級分譲マンションのパンフレットはPODでは無理だ。これまでオフセット印刷の外注に出していたこのような仕事を内製化できる。『小ロット化しているが、品質は落としたくない』。このような仕事はJet Pressだと非常に受注しやすい」

 一方、この内製化をきっかけに、受注構造の見直しも進めているという。

 「利幅の少ない受注を見直し、高単価、高利益率の仕事に入れ替えを進めている。結果、非常に良好な循環を生んでいる」

 受注ロットは500通し以下がほとんどを占める。PODオンリーだった同社にとって、紙の取り回しなどを含めたオフセットライクな操作性、あるいはPODより繊細な機構に最初は多少戸惑いもあったようだが、いまでは何ら問題なくオペレーションできているという。

 一方、内製化と同時進行で進めているのがアート系印刷物へのアプローチだ。この分野では、ジークレーなどの技法もあるが、1枚あたりの単価が高額で、多くの生産には不向きだ。一部のトップアーティストではなく、まだまだ売り出し中のアーティストの作品集や図録などがターゲットだという。

 「印刷通販を利用しているアーティストもいるようだが、紙を選ぶことができず、ロットやサイズでも制約がある。この市場にJet Pressはジャストフィットする。この分野にまったくネットワークはないが、SNSやホームページでのPR、あるいはインスタグラムから直接アーティストにアプローチするなど、少しずつ進めている。このアーティスティックな仕事への取り組みは、ある意味、当社のブランディングでもある」

新たな技術革新と万全のサービス体制に期待

 伊達社長に、後加工の内製化について聞いてみたところ、「深江橋プリントセンターの周辺には、高い技術力を持ち、Jet Pressの加工適正も熟知するパートナー企業がある。そのお陰で我々は『刷り』に徹することができる」とし、今後も協力会社との連携を高めていく考えだ。

 最終的に同社が目指すのは、価格競争力を失いつつある現在の「菊四裁POD」からの脱却だ。

 「創業以来、この『菊四裁POD』による短納期対応のノウハウに強みを見出してきたわけだが、値崩れを起こしつつある現状において当社におけるビジネスとしての魅力は薄れつつある。一方で、今後の技術革新という意味ではオフセット印刷よりもデジタル印刷の方が期待できると私は考える。そうなると、今後はB2、B1といったサイズのデジタル印刷機への投資を考え、事業をシフトしていきたい。前述のように、それはトナーでもインクジェットでもかまわないが、生産機としての堅牢性と信頼できるアフターサービスが必須になる。その意味で、今後も富士フイルムによる新たな技術革新と万全のサービス体制を期待している」


取材を受けて(後述)

 創業以来、多くの設備投資を行ってきたが取材を受けるほどの事では無かった。菊四のオンデマンド印刷を中心に行ってきた弊社に取って「JetPress750」はこれまでの設備とは全く違う。電気設備はキュービクルも必要、通紙を良くするために室内湿度や温度も管理しないといけないし、廃液の処理もある。オフセット印刷であれば当たり前の事が、弊社に取っては当たり前ではなかった、戸惑いっぱなしの1年間。多様なジョブを経験し少しずつノウハウを蓄積することで自信をもって難しい仕事にも挑戦出来るようになってきたと感じる。

 国内でJetPressを導入している多くの企業は「校正機」もしくは「小ロットの印刷物」という位置づけだと思う。弊社は従来のPOD機と同じように生産機として導入しており、他社とは圧倒的に使い方が違うと自負している。今後はこれまで以上にJetPressを中心とした事業を行い、他に類をみないニッチな業務で「社会に必要とされる企業」であり続けたいと考えています。

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